日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『安田朗 ガンダムデザインワークス』
『安田朗 ガンダムデザインワークス』
安田朗(イラスト) 一迅社
¥3,300+税(2017年6月17日発売)
ゲーム『ストリートファイター』シリーズを筆頭に、キャラクター&メカニックデザイナーとして数々の名デザインを生み出してきた “あきまん”こと安田朗の画集『安田朗 ガンダムデザインワークス』が、6月17日に発売された。
本作はその名のとおり、安田朗氏のガンダムシリーズにおける仕事の数々が収録されており、その軌跡を一望することができる。
初めてシリーズに携わった『∀ガンダム』から2014年に放映された『ガンダム Gのレコンギスタ』(以下、『Gレコ』)まで、雑誌やDVD-BOXなどに使用された版権イラストはもちろんのこと、膨大な点数の設定画もフルカラーで掲載。
メカに関しては、安田氏本人がSNSでも紹介していた設定メモや詳細なギミック解説がバッチリあるのはうれしいかぎり。
特に、『Gレコ』の前身に当たる短編作品『リング・オブ・ガンダム』に登場するRX-78-2 ガンダムの細部の設定画は、メカへのフェティシズムを感じ取れるすばらしい作品だ。
もちろん、掲載イラストは映像作品だけではない。
2005年発売の『ガンダム トゥルーオデッセイ ~失われしGの伝説~』などのゲーム作品や、マンガ『月の風』、そして「ガンダムエース」でのコラム連載時のイラストなどなど……非の打ちどころがない網羅ぶりだ。
油絵からデジタル作画まで、多彩なタッチでガンダムワールドを描き出すあきまんの魅力を、本作を通してぜひ再確認して欲しい。
もうひとつの見どころは、あきまんとともにガンダムに携わったクリエイターたちへのインタビューだ。
『Gレコ』『OVERMAN キングゲイナー』でともに仕事をしたアニメーターの吉田健一や、同じく『Gレコ』でメカデザインを担当した形部一平などが、それぞれの視点で見るあきまん像を語っている。
あきまんを語る面々のなかには、当然ガンダムの生みの親・富野由悠季もおり、2001年に発売された画集『安田朗 ∀ガンダムデザインズ』の寄稿文で「ぼくは初めて若い男に恋をした」と綴っていた監督の、変わらぬあきまん愛を堪能できる。
こちらも必見!(本作に寄せたハイテンションなオビコメントも必見)
<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
Twitter:@gakuton