『ガンダム Gのレコンギスタ』第1巻
富野由悠季(作)太田多門(画) KADOKAWA \580+税
(2014年12月22日発売)
現在絶賛放映中の、富野由悠季監督によるTVアニメ『ガンダム Gのレコンギスタ』のコミカライズ作品。
『機動戦士ガンダム』以来、さまざまな作品で描かれてきた宇宙世紀の後となる時代「リギルド・センチュリー」を舞台とし、主人公のベルリ・ゼナムとヒロインであるアイーダ・スルガンたちが織りなす、宇宙戦争のなかでの冒険活劇が描かれていく。
第1巻では、ベルリたちの冒険の序章となる、アニメの第3話までにあたるエピソードが収録されている。だが、すでにアニメを観ている読者は、まず冒頭で「おやっ」と思うはずだ。
マンガ版の第1話には、自宅でトレーニングをし、テストの予習をした後に、故障していた通学用の二足歩行ロボット・シャンクをあっさり直して学校へと向かうという、アニメにはなかった印象的なシーンが加わえられ、主人公の秀才ぶりを引き立たせる構成となっているのだ。
そのほかにも、キャラクターの細かい動きや心情など、テンポよく濃密なシーンが連続するアニメではついつい見落としがちな要素が、あますことなく拾われている。すでにアニメ本編を観ている人間が手にとっても、新鮮な驚きを感じることができるだろう。
また、巻頭掲載の『Gレコ』世界がひと目でわかるワールドガイドに加え、巻末には『機動戦士ガンダム』から『機動戦士Vガンダム』まで、人類が全滅しそうになったという「宇宙世紀」の戦争を記した年表が収録されており、読前と読後に目を通せば、作品世界への理解がより深まるはず!
さらに、巻末には前述の年表のほかにも、掲載誌「月刊ガンダムエース」の読書投稿コーナー「ガンダムマインド」の出張版である「ガンダムG-レコマインド」を収録。ガンダムファンの漫画家やイラストレーターなど、やたら豪華な本作の「読者」によるファンアートは必見。
作者の太田多門のTwitterへの投稿によると、本作を執筆するにあたって、富野監督に「やっちゃっていいよ」と言われたとのこと。今後のマンガ版『Gレコ』で、アニメ本編の「スリリングすぎる」展開が、どのような解釈で描かれていくのか、期待が高まるばかりだ。
クライマックスを迎えつつあるアニメはもちろんのこと、マンガ版も読まないと人生暗いぞ!
<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
Twitter:@gakuton