『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』第1巻
矢立肇/富野由悠季(作)さびしうろあき×柳瀬敬之(画)出渕裕(モビルスーツデザイン) KADOKAWA/角川書店 \580+税
(2014年11月22日発売)
『ガンダム』シリーズの生みの親・富野由悠季監督の新作TVアニメ『ガンダム Gのレコンギスタ』で世間がにぎわうなか、シリーズの人気作『機動戦士ガンダム 逆シャア』のもうひとつの物語が、マンガにて始動!
本作は、赤い彗星のシャアとアムロ・レイの戦いの結末を描いた、映画『逆シャア』の第1稿として提案されたものの、映像化へと至らなかったストーリーをもとに、富野監督自身が執筆した小説『ベルトーチカ・チルドレン』をベースにマンガ化している。
そのため、映画とはストーリーの大筋は同じながらも、細部での差異が多い。
サブタイトルでも触れられているベルトーチカ・イルマは、アムロとの恋人関係が『Zガンダム』から継続している。また、映画でいうところのギュネイ・ガスとナナイ・ミゲルにあたる、グラーブ・ガスとメスタ・メスアなど、各キャラクターの名前や外見、そして戦いのなかで迎える結末も異なっている場合がある。映画での『逆シャア』しか知らない読者を、大いに驚かせることだろう。
戦場の主役であるモビルスーツも、ガンプラの新ブランド「RE/100」にてキット化されたことが記憶に新しいシャア専用機のナイチンゲールや、グラーブの駆るサイコ・ドーガなど、映画と違う面子が登場。その活躍の描写は必見だ。
巻末には、映画でも唐突に始まるフィフス・ルナを巡る戦いを解説した「フィフス・ルナ攻防戦 図説」や、本作向けにリファインが加えられた各機体の設定画を収録。作品世界への造詣を、さらに深めることができるだろう。
なお『逆シャア』には、もうひとつの小説版である『ハイ・ストリーマー』も存在する。本作を手にした方は、ぜひそちらもチェックし、比較や考察を楽しんでほしいところだ。
<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
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