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『マンガ好きのためのマンガ家インタビュー集』 ポストメディア編集部 【日刊マンガガイド】

2017/07/27


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『マンガ好きのためのマンガ家インタビュー集』



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『マンガ好きのためのマンガ家インタビュー集』
ポストメディア編集部 一迅社 ¥1,300+税
(2017年7月1日発売)


インタビュー記事にはしばしば注釈や説明が入る。
登場する固有名詞や話の背景を説明しないとわかりづらくなるが、説明しすぎるとまわりくどいので、何をどこまで説明するかは悩ましいポイントだったりする。

『マンガ好きのためのマンガ家インタビュー集』は、そのへんが腹のすわった1冊だ。
本作は雑誌「Febri」に掲載された漫画家へのロングインタビューをまとめたもので、石黒正数、沙村広明、藤田和日郎、久米田康治など、16人のデビューまでの話、各作品についての話を収録。
施川ユウキのペンネームが山本直樹の『極めてかもしだ』に出てくる教師・紫川から取られているといった小ネタから、椎名高志による『GS美神 極楽大作戦!!』のキャラクター解説や『うる星やつら』論など、マンガ好きはもちろん、創作を志す人の参考にもなる話が散りばめられている。

だが、グッとくるのはその語り口。
たとえば、「倭寇」のような歴史用語や、マンガ関連でも「月刊少年キャプテン」には注釈が入るが、一方で「月刊OUT」には何の注釈も入らない。

特に最序盤の石黒正数へのインタビューなどは強烈だ。
『それでも町は廻っている』などを題材に石黒の創作術を探っていくのだが、不意に「縄跳びの話とかは……」といった感じで作中のエピソードが出てきたりする。
もちろん収録巻数などは記載されているのだが、それがどんな話かの説明は基本的になし。
よほどのファンか相当記憶力がいい人でなければ、どんな話だったかパッと思い出せないだろう。
だが、この不親切さが本作の魅力でもある。
現場の空気や話し手の人となりが伝わるだけでなく、「マンガ好きならついてこいよ!」とでもいわれているような気持ちになるのだ。
そして、思わずマンガを読みかえしたくなってしまう。

マンガやインタビューを受ける作家が好きであればあるほどおもしろい。なるほど「マンガ好きのための」の看板に偽りなしというインタビュー集だ。



<文・小林聖>
主にマンガについての記事などを手がけるフリーライター。マンガ情報サイト・ネルヤ主催。年間だいたい1000冊くらいマンガを買ってます。
「nelja」

単行本情報

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