365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
8月16日は女子大生の日。本日読むべきマンガは……。
『アイドルを探せ』 第1巻
吉田まゆみ 講談社 ¥369+税
8月16日は「女子大生の日」。
1913(大正2)年のこの日、東北帝国大学(現:東北大学)が女子受験生3名の合格を発表し、日本に初めて女子大生が誕生したことに由来する。このうちのひとり、黒田チカは日本初の女性理学士として名を馳せ、1949(昭和24)年にお茶の水女子大学が新設された時には教授として迎えられる。
さて、ここで紹介するのは同じ「チカ」という名を持つ女子大生をヒロインとした物語。
別の意味で「女子大生」が脚光を浴びた……1980年代中頃の“女子大生ブーム”まっただなかに連載され、当時のノリや風俗、流行りものが生き生きと描かれた作品である。
ユーミンや大江千里らミュージシャンとも親交のある著者のセンスがすみずみまで行きわたり、ファッションやインテリア、ちょっとした小物の描写も当時の東京を活写しており、見ごたえ抜群だ。
冒頭は、チカが短大に入学する直前の春休みのグアム旅行。
入学後も、ほとんどキャンパスでの風景は出てこないのが、なんともそれらしい。
軸になるのは、念願のひとり暮らしを始めたチカのアパートだ。
同じ短大の同級生であり、漫画家志望でオシャレに疎いカンロちゃん、20歳のバスガイド・千明さんといった隣人たちと仲よくなり……。
他大学との合同サークルで知りあった岩田くん、中学時代に憧れの人だったモテ男・永江くん、大家の息子で弟みたいにかわいい誠くんをまじえ、毎日が楽しくてたまらない。
調子よく遊んでいるように見えて意外と堅かったり、ときにはムードに身を委ねたくなったり……。
チカがだれと結ばれるのかハラハラしっぱなし!?
80年代当時は、現役女子大生が出演したラジオ番組「ミスDJリクエストパレード」や深夜TV番組「オールナイトフジ」が大人気。これが女子大生ブームのさきがけになったといわれるが、本作ではチカが女子大生DJを務めるくだりも。
今となっては、バブル期の女子大生の生態を描いた資料として読める作品といえそうだ。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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