日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『人生はまだ長いので』
『人生はまだ長いので』
都陽子 祥伝社 ¥680+税
(2017年6月8日発売)
元・追っかけ女子たちの婚活劇『ガラスの靴は割れてもはける』を連載中の都陽子の、デビュー作を含む短編集。
タイトル作はアイドルグループを解散した4人、それぞれの夏を描いた珠玉の作品だ。
芸能界でアイドルをやっていたまだ10代とおぼしき女の子たちが、それぞれに“第2の人生”を歩き出す4人の想い、瑞々しい青春の時間がにじみ出る。
どの作品も説明は最小限にとどめた行間を読ませるコマ運びが巧みで、登場人物たちの像とドラマをゆっくり結んでいくのが楽しい。
こういうのを大人のためのマンガというのだろう。
淡い恋の感情もあれば、ドキッとさせるエロ度の高いストーリーも。
人にはじつにいろんな側面があって……きっとだれもが持っている“こうしか生きられない”業のようなものをサラリと描く。
それが美しい結末になるのか、いや、美しい結末と解釈するかどうかは読み手次第かもしれない。
とりわけ、男をはさんでの因縁を持つ女性2人を描いた「パンドラガーデン」は、何度も読みかえしてしまう秀作。
本作の後日譚、単行本描き下ろしの「Bonus track」でまたゾクゾクきてしまった!
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」