日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『カンナさーん! アラフォー編』
『カンナさーん! アラフォー編』 第1巻
深谷かほる 集英社 ¥440+税
(2017年7月25日発売)
「日本中の女をイイ女にすること」を夢見て働く、雇われアパレルデザイナー、超パワフルなシングルマザー、カンナさんが帰ってきた!
小学6年生の麗音(れおん)、保育園通いのエリザベスと父親の違う2人を育てながら、仕事にも全力投球!
常に笑顔のカンナさんは人づきあいが大好き、保育園で知りあったママ友パパ友を家に招いてご飯会を開いたりと、しっかり人生を楽しんでいる。
他人が悩んでいるのを放っておけず、グイグイ踏みこんでしまうのは相変わらず。
お節介のようだが、人情味あふれる彼女の行動はじつに爽快だ。それでいてカンナさんが英雄すぎないところも本作の魅力。彼女の考えかた=正義・正論とはかぎらないこともちゃんと描かれていて……。だけどやっぱり、カンナさんがまず行動を起こすことが、ウジウジ悩んでいた周囲の人たちが「問題に向き合おう」という勇気を起こすきっかけになっているのである。
元気いっぱいのカンナさんだけど、シングルマザーが2人の子を抱えて生きていくのはたいへんだ。
経済的なことはもちろん、難しい年頃になった長男・麗音はカンナさんとは違って繊細な性格で、口には出さないながらに父への思いを抱えているようで……。
本作の前日譚、30代のカンナさんの物語『カンナさーん!』を原作としたTVドラマもただ今放映中(TBS系列)。
標準規格より大きめボディだが、だれよりも自分らしいオシャレを楽しんでいる、渡辺直美のカンナさんはまさにハマり役!
明るくてノリがよくて、エネルギーの塊のようなカンナさんの魅力を十二分に表現している。
『カンナさーん! アラフォー編』は全3巻で完結となるが、そのさらに4年後を舞台とした続編も「月刊YOU」誌上で復活連載中。高校生となった麗音、小学生のエリザベスの成長も見どころだ。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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