『ウタ★マロ ~愛の旅人~』第3巻
国友やすゆき 日本文芸社 \590+税
(2014年9月18日発売)
完結巻となる第3巻のカバー袖に躍るフレーズは、「セックスは……いつも3P…」。
思わず目を疑ってしまうが、まさにこれが『ウタ★マロ~愛の旅人~』を言い表しているフレーズなのだから、いやはやなんとも!
本作は、『幸せの時間』や『×一(バツイチ)愛を探して』の国友やすゆきが、「週刊漫画ゴラク」に連載していた、一風変わった愛との性のドラマだ。
主人公は、初体験のトラウマから女性に苦手意識を持っていて、アソコが役立たずになってしまった風俗誌の編集者・歌田聡(ウタ)。ある夜、ひとり歩いているウタのもとに、歌舞伎町のNo.1ホスト・麿(マロ)の乗った自動車が猛スピードで突っ込んできた。
その事故がもとでマロは脳死状態となってしまうが、ウタの身体にも変化が起こり、なんとアソコが言葉を発するようになってしまう。その原因は、事故で身体から分離したマロの魂だった。百戦錬磨のマロのサポートのもと、ウタは夜の街を生きる様々な女たちと文字どおり触れ合っていくことになるが……。
そういう意味で、本作を言い表すフレーズは「セックスは……いつも3P…」なのだ。
最終巻では、本心から愛し合うようになった良家のお嬢様・あやかを、極悪ホストの魔の手から救い出すべく、ウタとマロが奔走する。はたして、ウタはあやかの心も身体も手中にできるのか?
そんな風に書くと大仰な物語のようだが、よくも悪くも下世話なのが本作の魅力。愛と性の物語とはつまりはメロドラマで、本作もまたメロドラマということになるが、どこを切ってもいい意味でエロドラマである。
エロで魅せて、笑わせも泣かせもして、楽しませてくれる。その下世話さこそ、マンガのサービス精神というものであり、エロドラマの名手・国友センセイのプロフェッショナリズムだ。
ツッコみどころも含めて、クセになる味わい。国友節に浸りたいという人は、ぜひ!!
<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌「ぴあMovie Special 2014 Autumn」が9月17日に発売に。『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』パンフも手掛けています。