『磯部磯兵衛物語 ~浮世はつらいよ~』第3巻
仲間りょう 集英社 \400+税
(2014年7月4日発売)
「『週刊少年ジャンプ』に浮世絵マンガが!?」……連載開始時、話題騒然となった本作もすでに単行本3巻目。
主人公の磯部磯兵衛は立派な武士を目指して修行中……とは口先ばかりで、実際は春画(=エロ本)を見るために躍起になるほかはゴロゴロしてばかりの若者。
江戸時代っぽさのある設定と、いきなり丸無視してみせる投げやりなユルさ、それをマッチングさせるバランス感覚が絶妙だ。“浮世絵”というネタに縛られすぎることなくフリーダムにブッとんでいる作品である。
一見“脱力系”の絵も一発芸ではなく背景とのバランスでおかしみを増幅させているし、セリフのセンスも抜群。
ツイッターなどでたちまち流行語となった「処す!」から本作を知った人もいるかもしれない。え、「処す」って何かって? 知らない人は「処す!」……じゃなくて、すぐに『磯部磯兵衛物語』を読んで候!
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
「ド少女文庫」