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『進撃の巨人』 第23巻 諫山創 【日刊マンガガイド】

2017/09/20


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『進撃の巨人』



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『進撃の巨人』 第23巻
諫山創 講談社 ¥429+税
(2017年8月9日発売)


壁の外部から襲ってくる正体不明の巨人たちによって、最愛の母親を亡くした、エレン・イェーガー。調査兵団に入隊し、ついに巨人の猛攻を苦闘の果てに撃退したエレンたちは、「海を隔てた大陸にはマーレという国があり、巨人たちはそこから送りこまれている」ということを知る。

そしてそれは超大国・マーレの戦力が弱体化しているというイメージを世界にばら撒くことにつながった。
既刊の第22巻はエレンたちが巨人の襲撃をしのいで(つまりマーレの襲撃をしのいで)パラディ島の海辺に到達する場面で終わっていた。

今回ご紹介する第23巻は、エレンたちが海辺に到達してから数年後の大陸が舞台となる。
パラディ島での作戦失敗を戦力の低下とみなされたマーレ国は、敵対する「中東連合」勢力との戦争に突入していた。 その戦争によって、巨人は近い将来には時代遅れの技術となる見通しが立ってしまう。
第23巻の冒頭は、その中東連合との戦争で戦い生き抜こうとする少女・ガビたちの姿から描き始められている。

で、このガビのキャラがいい。ドンデン返しの連続の果てにようやくエレンたちがパラディ島の海辺に到達して「これからどうなるの?!」と期待していたところに、いきなりの「数年後…」という展開。
大丈夫かと思ったのだけれど、全然オッケー。いろんな濃いキャラが出てきて楽しませてくれる『進撃』だけど、ガビが1番好きかもしれない。生き延びてほしい。

居住区に隔離されて住まわされている、差別される民「ユミルの民」たちの置かれた立場は複雑だ。迫害から逃れるための思惑が錯綜し、一枚岩になれないせつなさ。
彼らはどうなってしまうのだろう。はやくも次巻が待ち遠しい!



<文・永田希>
書評家。サイト「Book News」運営。サイト「マンガHONZ」メンバー。書籍『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』『このマンガがすごい!2014』のアンケートにも回答しています。
Twitter:@nnnnnnnnnnn
Twitter:@n11books

単行本情報

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