『しばたベーカリー』第5巻
鵜飼りん 講談社 \552+税
(2014年9月22日発売)
見た目が犬にそっくり(と言うより犬そのもの)のしばたさんが切り盛りする「しばたベーカリー」での日常を描いたほのぼのストーリー。
しっかり者でツッコミ役の息子である小太郎(これまた犬そのもの)や、商店街のひと癖ある住人たちとの掛け合いが、どうにも和む。
しばたさんとその息子以外の動物キャラが出ないことから、本作は動物を擬人化したファンタジー系の作品ではない。その設定自体がストーリー展開に大きく影響することもなく、主人公を犬の姿にする必要がなかったようにも思えるのだが、やがてこの姿を使ったことがもっとも正解に近いような気がしてくる、不思議な作品だ。
第5巻では家を飛び出した奥さんも帰ってきて、和気あいあい度合いも大幅アップ。これからな感じの展開ながら、最終巻となってしまったのは、ちょっと残念。
だが、もちろん読後感は悪くなく、次回作への期待が膨らむ。
<文・岡安学>デジタルモノなどのガジェット系を中心に雑誌やWebで活動するフリーライター。元ゲーム誌編集者で、ゲームやアニメ、マンガなどのメディアも守備範囲。ソフトとハードのどちらもこなす。現在、生活総合情報サイト「オールアバウト」にてデジカメのガイドも務める。