『宇宙兄弟』第1巻
小山宙哉 講談社 \552+税
1992年が「国際宇宙年」だったことを記念して、日本国際宇宙年協議会によって、9月12日は「宇宙の日」と制定された。この年のこの日、毛利衛さんが日本国籍保有者として初めてスペースシャトル計画に参加して、“エンデバー”で宇宙へ飛びたったことが、その理由だ。
さて、日本には兄弟で宇宙飛行士になった男たちもいる。それは、マンガ『宇宙兄弟』の主人公、南波六太と日々人。
兄弟で一緒に宇宙飛行士になると幼い頃に約束しながら、兄・六太は一度はその目標をあきらめていた。しかし、夢をかなえて日本人初の月面歩行者となる弟・日々人の存在に奮起させられて、再び宇宙を目指すこととなる。
そんな『宇宙兄弟』は、「宇宙の日」に読むには打ってつけの1作だろう。
ちなみに著者の小山宙哉は本名だが、名前の「宙」の字は宇宙にちなんだものではなく、宇宙をテーマにした『宇宙兄弟』という作品を描いたのは偶然だったという。
ただ、本日9月12日と小山宙哉には、もうひとつ不思議なめぐり合わせが!?
甲本ヒロトがヴォーカルを務めるバンド、ザ・クロマニヨンズのファンとして知られる小山。その縁から、ザ・クロマニヨンズの10thシングル『雷雨決行』が、劇場アニメ『宇宙兄弟 #0』の挿入歌にもなっているのだが、くしくもフランスのラスコー洞窟で旧石器時代後期の壁画が発見され、クロマニョン人の文化が広く認められたのが、1940年の9月12日なのだ。
そんな偶然のつながりにも、宇宙さながらのロマンや神秘が? 読書のBGMは、ぜひザ・クロマニヨンズで!
<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌「ぴあMovie Special 2014 Autumn」が9月17日に発売に。『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』パンフも手掛けています。