日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『恋を知らない僕たちは』
『恋を知らない僕たちは』 第1巻
水野美波 集英社 ¥400+税
(2017年10月25日発売)
なんかもう、せつない。
でも、決してつらいわけじゃない。むしろ甘酸っぱい。
胸が締めつけられるけど温かくて、どこまでもピュア。
そんなみずみずしい青春の日々を、主に男の子たちの視点でクローズアップし、美しく切りとっていく。
『虹色デイズ』の水野美波が贈る新作は読む人の心を揺さぶる、恋愛途上の青少年たちを描く物語だ。
惚れっぽい英二と、口下手な直彦。
中1で出会って友だちになった2人が、2年になった夏休み明けのことだった。
彼らの学年にやってきた転入生は、英二と小学校がいっしょだった少女、汐崎泉。
3人でいっしょに帰るうちに、友だち同士の関係はやがて形を変えていく。
時は流れて、全員が高校に進学。新たな世界で新しい仲間とめぐり会い、そして――。
第1巻ということで物語は始まったばかりなのだが、なんといってもストーリーの切り口がうまい。
中学時代の3人の関係だけでも、ほろ苦くも甘い、胸を打つ青春エピなのに、だ。
彼らが高校生になりメンバーも増え、世界が広がると同時にいっそうこみ入った、波紋のような恋愛模様が描かれつつある。
とにかくがんばれ、若者! ――そうエールを送りたくなる本作は、前作のわちゃわちゃした雰囲気から一転、深い心理劇になりそうな予感をはらんでいる。
気になる伏線もちょいちょい顔を出していて、これはもう、そわそわしながら次を待つしかない。期待の1作である。
<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」