日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『スタンドバイミー・ラブレター』
『スタンドバイミー・ラブレター』 第1巻
増田里穂 集英社 ¥400+税
(2017年1月25日発売)
“高1のはじめ
同級生の男の子の赤くなる頬を
はじめて知った――”
同級生の男の子・泉くんからラブレターをもらった相川葉月は、夏休みの直前に「ごめんなさい」と返事をする。
振った相手なのに、葉月は気づけば何度もラブレターを読みかえしていた。
校内でちょくちょく顔をあわせる気まずさから、「友だち」という関係から始めることになった泉くんと葉月。まだ葉月のことが好きな泉くんと、彼を意識してしまう葉月の会話はしどろもどろで、なんというか……むずがゆい!
手が重なりあっただけで、「すごいことしちゃった…っ」と鼓動が早くなる葉月。泉くんが自分のことを好きなのだという“甘い優越感”を、心地よく感じている自分に気づく。
そう、この感情こそが「恋」なんだと。
2016年ドラマが大ヒットした『逃げるは恥だが役に立つ』がもたらす“むずきゅん”にも似ているのだが、こちらは高校生ということもあって、みずみずしさも上乗せ!
読んでいるこっちが恥ずかしいくらい、2人とも体中から「好き」があふれていているのだ。
毎話を締めるモノローグも秀逸で、このモノローグこそが、葉月のラブレターの返信のようにも思える。全編読み終えたあとに、ぜひモノローグだけを通して読んでみてほしい。
表紙にナンバリングがないことに気づいた時は、ちょっと残念な気持ちに……。もう少し、このかわいいカップルの今後が見たかったなあと。
なので、増田先生の次回作に期待!
<文・穂高茉莉>
楽器店店員。『このマンガがすごい!2016』、「このマンガがすごい!WEB」のアンケートに参加中。最近少女マンガのレビューのお仕事もちょこちょこと始めました。