『ナポレオン -覇道進撃-』第1巻
長谷川 哲也 少年画報社 \562+税
1815年の10月15日はナポレオン・ボナパルトが、南大西洋に浮かぶ火山島のセントヘレナへ島流しされた日である。
一軍人からフランス皇帝まで成り上がるという激動の人生を送ったナポレオンだが、百日天下後に幽閉されたこの孤島が、最期の地となった。
フランスが誇る不世出の英雄である彼を題材としたマンガは多々あるが、注目は長谷川哲也の描く『ナポレオン』シリーズ。
異色の戦国マンガ『セキガハラ』などでも知られる人気劇画家が描く本作は、混迷を極めるフランスでナポレオンが第一執政へと成り上がるまでを描く第1部『ナポレオン -獅子の時代-』と、支配者となったナポレオンの活躍を描く現在連載中の第2部『ナポレオン -覇道進撃-』で構成されている。
綿密な考証から生み出されたリアリティあふれる時代描写と同時に、歴史マンガを読んでいることを忘れさせるほどに荒唐無稽な「漢らしい」アレンジが光る本作。筋骨隆々の豪傑たちが雑兵をなぎ倒しながら活躍する様は、まさに三国志演義ならぬ「ナポレオン演義」だ。
作中では、いまだ栄光のただなかにいるナポレオンだが、史実におけるその末路を念頭において読めば、また新たな発見があるかもしれない。
<文・一ノ瀬謹和>
涼しい部屋での読書を何よりも好む、もやし系ライター。マンガ以外では特撮ヒーロー関連の書籍で執筆することも。好きな怪獣戦艦はキングジョーグ。