『栄光のナポレオン―エロイカ―』第1巻
池田理代子 中央公論社 617
1815年のこの日、ナポレオン率いる仏軍は、ワーテルローの戦いで大敗を喫した。この敗戦後、ナポレオンは失脚していく。
ナポレオンの生涯を描いたマンガといえば『栄光のナポレオン―エロイカ―』だ。
作者はご存知『ベルサイユのばら』の池田理代子。作品の時代背景が『ベルばら』の直後なので、オスカルの最期を看取ったアランも登場。『ベルばら』ファンには見逃せない作品となっている。
ちなみに『ベルばら』が、オーストリアの作家シュテファン・ツヴァイクによる小説『マリー・アントワネット』を下敷きにしているのは有名な話だが、『エロイカ』に登場する警務大臣フーシェの人物造形にも、同著者による評伝『ジョゼフ・フーシェ』の影響が見て取れる。
ツヴァイクは、漫画家・池田理代子を語るうえで、無視できない作家なのである。
なお、ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞した映画監督ウェス・アンダーソンの新作『グランド・ブダペスト・ホテル』でも、ツヴァイクについて言及されているので、興味をもった方は鑑賞してみては。
<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでのマンガ家インタビュー(オトコ編)を担当しています。