ダリアの帯
大島弓子 白泉社 ¥700
一日一日に花を当てはめた"誕生花"を見ていくと、6月5日の花はダリア。 色鮮やかに咲くことで知られるキク科の大輪種だ。
ダリアの花の鮮やかさは、ときに不気味さすら感じさせるが、 大島弓子『ダリアの帯』は、まさに男性にとっての花=女性の怖さや不可解さ、 そして大きさを見せつけてくれる作品である。
若くして結婚した、只野一郎と黄菜。しかしすでに夫婦間の刺激は失われて久しい。 一郎が勤め先のOLと浮気をしていたある日、黄菜が階段から落下し、 知らずに宿していたお腹の子を流産してしまう。それ以来、黄菜の様子がおかしくなり、 なぜかダリアの花の帯に固執するように……。
大島弓子は、少女マンガの新しい流れを作った昭和24年生まれの女性作家たち 「"花"の24年組」のひとり。ほかにも花をタイトルやモチーフにした作品が大島には多いが、 どの作品もメルヘンと同時にある種の狂気、そして読者も登場人物も含め、 すべての人を包み込むような優しさに満ちあふれている。 女性作家ならではの"華"やかな技といえるかもしれない。
<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌『ぴあMovie Special 2014 Summer』が6月5日に発売に。DVD&Blu-ray『一週間フレンズ。』ブックレットも手掛けています。