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【きょうのマンガ】7月14日はフランス建国記念日

2014/07/14


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『ジェラールとジャック』
よしながふみ 白泉社 ¥724+税


ブルボン王朝の絶対王制に、市民たちまでもが反発して起こったフランス革命。
その発端となった政治犯解放のためのバスチーユ監獄襲撃からちょうど1年後、1790年に共和制を祝う祭典が催されたことにちなみ、7月14日はフランス建国記念日に定められている。

バスチーユ監獄襲撃がまさにクライマックスとなっている作品といえば、池田理代子『ベルサイユのばら』があるが、BLの世界にもフランス革命を背景にした名作がある。
よしながふみが1998年から2001年に掛けて発表した、『ジェラールとジャック』だ。

人生で一番最初にはまったマンガが、『ベルサイユのばら』と公言している作者(『このマンガがすごい!2007 オンナ版』インタビューより)。本作もまた歴史劇としても、人間劇としても魅せてくれる。

親の借金のかたに、男娼館に売られた没落貴族の息子・ジャック。彼が最初の客として出会ったのは、平民ながら財を成した男で、顔半分に大きな傷を持つジェラールだった。貴族を嫌い、ジャックをベッドで凌辱しながらも、彼に自分の力で生きていくことを解くジェラール。
やがてジャックはジェラールのもとで働くこととなり、有能な秘書として成長するが、一方でジェラールに惹かれてもいく。
そして世相が革命へ動くなか、貴族であるジャックとある秘密を持つジェラールは、迫害から逃れるために亡命を試みるが……。

シャープで繊細な線とコマ運びのなかにも、時代や運命のうねり、心情のうねりが伝わってくるのは、作者の『大奥』同様。
よしながふみには、同じくこの時代を舞台に優秀な執事と貴族の青年の間柄を描いた、『愛とは夜に気付くもの』もある。歴史だけでなく、男たちの密やかな革命にも魅了されること間違いなしだ。



<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌「ぴあMovie Special 2014 Summer」が発売中。DVD&Blu-ray『一週間フレンズ。』ブックレットも手掛けています。

単行本情報

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