『男!日本海』第1巻
玄太郎 日本文芸社
1972年10月29日は、「ホリエモン」の呼び名で知られる実業家・堀江貴文の誕生日だ。
堀江氏は株式会社ライブドアの社長として頭角を現すと、大阪近鉄バファローズの買収によるプロ野球参入計画や、ニッポン
放送の買収などで大衆の耳目を集め、一躍時の人となった。社長業を続けながら衆議院選挙に立候補するなど、話題には事欠かなかったが、2006年1月23日に証券取引法違反容で逮捕され、ライブドア社長の座を辞任するという激動の人生を経験。
その不敵なキャラクターから、ドラマ、映画、バラエティ番組、マンガとジャンルを問わず様々なメディアでパロディにされた堀江氏だが、なかでも一番のキワモノ作品が、今回紹介する玄太郎『男!日本海 謎街道を行く』だろう。
驚愕するほど直球なシモネタの乱舞によって、コマを追うごとに知力が衰えていくような感覚に陥る脱力系エロティックコメディ『男!日本海』シリーズの一作である本作は、従来からのシモネタに加えて「なぞなぞ遊び」を新たなテーマにしており、ライバルキャラクターとして「バイブドアのヤリエモン」(!)という、堀江氏を過激にパロディ化したキャラクターが登場したのだ。
主人公・魁日本海と、熾烈な下品なぞなぞ勝負を繰り返していたヤリエモンだが、現実世界で堀江氏が逮捕されると、その事実がすぐさま作品にも反映。作中でヤリエモンが地検特捜部に逮捕され、そのまま連載が終了してしまうという、なんとも衝撃的な結末を迎えている。
いろいろと事情があるのだろう。残念ながらこの注目作『謎街道を行く』はいまだ単行本化されていない。
だが、先日発売されたコンビニコミックス『男!日本海スペシャル 旅立ちの女編』には、『男!日本海』シリーズの単行本未収録作品が多数収録されている。売上次第では、このカルト作の収録も夢ではないかもしれない!?
なお、余談ではあるが、マンガ愛好家としての顔を持つ堀江氏は、竹谷州史『拝金』や、本そういち『ホリエ戦記 ホリエモン闘牌録』など、様々な作品の原作も手がけている。
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<文・一ノ瀬謹和>
涼しい部屋での読書を何よりも好む、もやし系ライター。マンガ以外では特撮ヒーロー関連の書籍で執筆することも。好きな怪獣戦艦はキングジョーグ。