『おいちぃってゆってよ。』第1巻
七竈アンノ 日本文芸社 \571+税
(2014年10月9日発売)
七竈アンノは、以前から未発達の少女の肢体をいかに美しく描くかに執念めいた情熱を持っている。
そんな作者ら(2人組です)が、「とにかく自分の好きなものをつめ込んでデザインしました」というだけあって、ヒロインの銀月棘(かがみいばら)は、肉体・骨格・精神において、美少女好きなら見ておかないと損、と断言したい。
棘は大金持ちのお嬢様。しかしいわゆる「性格ブス」で、クラスの誰からも相手にされていないぼっち。身体的成長も著しく遅れている(読者的にはそこが美味しい)。
彼女はある日、吸血鬼に襲われ血を吸われる。ところがあまりにも性格が悪いため、棘の血がとてつもなくまずくて飲めない。
かくして吸血鬼による、棘の性格改善大作戦が始まる。
読者的に見たいのは、みるみる少女からオンナにかわっていく姿ではない! ……断じて。
そこに至るまでに、試行錯誤をして失敗を繰り返す様を期待しているのだ。恥ずかしい目やひどい目にあって泣くのが見たいし、這いあがって見事幸せを得るカタルシスが見たい。
少しいたずらめいた吸血鬼によって、数多くのトラブルが起きる。棘が渦中で泣いたりがんばったりする様は、読んでいてニヤニヤしてしまう。
表紙のチョコレート柄と少女の肢体に惹かれたら、中身も同じくらい甘いのでオススメ。
ちなみにライバル役は巨乳。吸血鬼の妹がこれまたみごとな幼女。この作者、フルスイングです。
たいへんおいしゅうございました。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」