『なかじまなかじま』第3巻
西炯子 白泉社 \524+税
(2014年11月5日発売)
北白河麗奈はその華やかな名前とは裏腹に、超地味な女子だ。
伸ばしっぱなしのボサボサロングヘアで身なりも構わず。176cmの高身長で板きれのような体型……もとい、よく言えばスレンダーだがそれも猫背で台無し。
東京のお嬢様短大で浮きまくっている麗奈の趣味は、陸上選手ウォッチング。
以前から注目していた高校生アスリート・中島俊とひょんなことから知り合いになり、なぜかすごく慕われて地味色生活に潤いが!
そんなおり、彼女に目をつけた男がもうひとり。こちらは45歳の映画監督・中島圭。
麗奈の顔を見れば「ドブス」呼ばわりする口の悪さだが、彼女の磨けば光る素質を買っていて「オレの映画の主演女優になれ」と口説くのだ。
そして、この2人はじつの親子だったりするので、なおさら混乱状態に……。
2人の強烈なアプローチに麗奈は大困惑。かたや純で爽やかな16歳で、将来を嘱望される陸上界のホープ。かたや女関係は百戦錬磨のモテ中年ながら注目を集める映画監督。
さて、麗奈が選ぶのは?
非モテ女子を絵に描いたようなヒロインが、ある意味“彼女らしさ”を貫いたまま自分のほしいものをつかみとるクライマックスは感動的だ。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
「ド少女文庫」