『Real Clothes』第1巻
槇村さとる 集英社 \400+税
1904年12月20日、三井呉服店の営業をすべて引き継いだ三越呉服店が、呉服店の近代化=デパート化に挑戦。「米国に行はるるデパートメント・ストーアの一部を実現致すべく候」(原文ママ)と顧客らに宣言した。
これは後に「デパートメントストア宣言」と呼ばれ、これが日本初となる百貨店開業であるとされる。
槇村さとる『リアル・クローズ』は、デパート業界が舞台に、仕事と恋に生きる女子の姿を描いた作品だ。
ふとん売り場で働く天野絹恵は、突如、婦人服売り場への異動を命じられる。いままで外見に無頓着だった絹恵は、婦人服売り場のボスである神保美姫、カリスマバイヤーの田淵優作など、周囲の人たちに刺激を受けながら、新しい環境でも自分が輝けるようにと奮闘する。
デパートの業務だけではなく、優秀な人材の引き抜き、合併の話など、さまざまなデパートの内情を知るにはもってこいの内容だ。
ちなみに三越呉服店は、1928年に名称を「株式会社三越」に改め、2011年に伊勢丹と吸収合併したことで「三越伊勢丹」となり、現在も全国で百貨店の三越および伊勢丹を運営している。
<文・小林美姫>
ぴあを経てフリーで活動。『井上雄彦ぴあ』『ワンピースぴあ』『ポケモンぴあ』『プリキュアぴあ』『細田守ぴあ』(ぴあ)、『プリキュア10周年公式ブック』(メディアパル)など。
Twitter:@mikitty116