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12月23日はオグリキャップが有馬記念で優勝・引退した日 『馬なり1ハロン劇場』を読もう! 【きょうのマンガ】

2014/12/23


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『馬なり1ハロン劇場 オグリキャップ編』
よしだみほ 双葉社 \476+税


1990年12月23日、中央競馬の1年を総決算するグランプリレース「有馬記念」にて、稀代のアイドルホースが引退した。
その名はオグリキャップ。
地方競馬の笠松で12戦10勝2着2回と破竹の快進撃を演じた後、中央競馬に殴りこみをかけたオグリは、ダートから芝に戦場が変わったにもかかわらず、またたく間に重賞6連勝を記録。以降、タマモクロス、スーパークリーク、イナリワンらとGⅠレースで激しいバトルを繰り広げる。
岐阜県の小さな競馬場からやってきた芦毛馬が、中央競馬の血統馬をなぎ倒していく様に競馬ファンのみならず世間は熱狂! 空前のオグリフィーバーが巻き起こり、社会現象となった。

だが、引退レースとなった「有馬記念」で、オグリキャップは単勝4番人気に甘んじている。
この年のオグリは春のマイルGⅠ「安田記念」こそ優勝したものの、秋に入ると不振を極め、「天皇賞(秋)」を6着、「ジャパンカップ」は11着に惨敗。「オグリは終わった」が世間の評価であった。
しかし、奇跡は起こった。
弱冠21歳の天才ジョッキー・武豊を背にしたオグリは、メジロライアン、ホワイトストーンといった人気馬を直線で退け優勝。見事に有終の美を飾ったのだ。中山競馬場のスタンドからは地鳴りのようなオグリコールが響き渡った。

そんな歴史的なレースの前年から「週刊競馬報知」で連載をスタートさせたのが、『馬なり1ハロン劇場』(連載当初のタイトルは『それいけ岡部クン!!』)だ。
作者のよしだみほは、もともとイチ競馬ファンにすぎず、友人と同人誌を作ったことをきっかけに初めてちゃんとしたマンガを描いた素人だった。そのマンガが「競馬報知」の編集長の目にとまり、デビューすることになる。
当時はまだ競馬週刊誌にマンガが掲載されること自体が珍しかったうえに、人気馬を擬人化した軽快な会話劇スタイルが斬新で、読者のハートをがっちりとキャッチ。
98年の「ファンファーレ」(「競馬報知」から改題)の休刊後も、「漫画アクション」→「双葉社webマガジン」→「WEBコミックアクション」と媒体を変えつつ、四半世紀にわたって連載は続いている。

この『馬なり1ハロン劇場』からオグリキャップのエピソードを抜粋したのが、2004年に刊行された『馬なり1ハロン劇場 オグリキャップ編』だ。
地方からやってきた野武士らしく、オグリのキャラクターはかなりワイルド。一人称は“オレ”で、かなりのイケイケである。現役時代はもちろん、種牡馬入りしてからの牧場生活も描かれ、結婚相手(繁殖牝馬)をめぐってドキドキの展開も!?
巻末には血統表や本編の補足コラムなど、とにかく徹頭徹尾オグリ尽くし。当時の熱気が思い出されることうけあいである。

オグリキャップは10年7月に永眠したが、いまだに伝説は語り継がれており、若い競馬ファンでもその名を知らぬ者は少ないだろう。
4日後の28日にはオグリ引退から24年目の「有馬記念」が発走。ジャスタウェイ、ジェンティルドンナ、トーセンラー、ヴィルシーナと、一時代を築いたGⅠホース4頭がラストランを迎える。
はたして、どんなドラマが待ち受けているのだろうか。



<文・奈良崎コロスケ>
68年生まれ。東京都立川市出身。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞中年。
「ドキュメント毎日くん」

単行本情報

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