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『横浜線ドッペルゲンガー』第4巻 玉木ヴァネッサ千尋 【日刊マンガガイド】

2015/02/02


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『横浜線ドッペルゲンガー』第4巻
玉木ヴァネッサ千尋 集英社 \550+税
(2015年1月19日発売)


冤罪で死刑囚となった男が、事件発生の直前にタイムスリップ。過去の自分とタッグを組んで、真犯人を追い詰めていくクライムサスペンスがついに完結した。

タイムスリップモノは未来の事象との矛盾(タイムパラドックス)を避けるために、自分自身と鉢合わせしないようにするのが定石だが、本作の主人公・剣崎マコトは違う。
地獄の苦しみを与えてくれた真犯人を確実に探し出し、復讐するため、だれよりも信頼でき、だれよりもわかりあえる存在=自分と手を組むことを決意する。

3巻の時点で“真犯人は剣崎と同じタイムスリッパー”という仮説が浮上。しかし、この解答編では驚愕の真相が暴かれ、事態は急変する。
それと同時に犯人がなぜマコトに罪をなすりつけるに至ったのか、なぜ猟奇的な犯罪者となったのか、呪われた歴史の全貌も明らかになる。

嘘のつけないまっすぐな性格が逆に災いして、親友と呼べる存在がいなかった剣崎マコト。32歳の自分を剣崎、21歳の自分をマコトと呼び合い、真犯人に立ち向かった彼らが、友情にも似た不思議な関係をつくりあげるのは、タイムスリップモノとして新味だった。
ハッピーエンド、バッドエンド、どちらともとれる着地にも納得。すべてを知ったうえで1巻から読み直してみると、巧妙な伏線の張り方に唸らされること請け合いだ。

渾身のデビュー作を見事に完走させた玉木ヴァネッサ千尋の次回作にも期待大!



<文・奈良崎コロスケ>
68年生まれ。東京都立川市出身。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞中年。
「ドキュメント毎日くん」

単行本情報

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