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『片隅乙女ワンスモア』第2巻 伊藤正臣【日刊マンガガイド】

2015/02/10


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『片隅乙女ワンスモア』第2巻
伊藤正臣 幻冬舎 \630+税
(2015年1月24日発売)


水没する運命に見舞われた街を救う条件は、いち女子高生の恋の成就!?
ヒロインが“同じ夏”を繰り返すタイムリープ・ラブコメディ、待望の第2巻が刊行された!

海沿いの街、竜宮町に暮らす女子高生・しじみ。夏休みも終盤の8月16日――恋の願いが叶うと信じて床の間に飾られていた玉手箱を開けたことで、彼女は驚愕の事態に巻きこまれる。現れた土地神いわく、海に沈む運命にあった竜宮町を守るための封印が解かれてしまったというのである。
しじみの「初恋の相手・竜之介から告白される」という願いごとが8月31日までに叶わなければ、街は水没することに!?
かくして、竜之介に告白されようと立ちまわるしじみだが、そもそも相手が自分を好きかどうかもわからない。どうにもならないまま期日を迎えるも、土地神の力で8月16日に時間を巻きもどしてもらい……。

本巻ではいよいよ“2回目”のミッションに突入だ。
2回目ともなれば竜之介に対する情報も増え、しじみなりに作戦を弄するが、ことはなかなかうまく運ばず……。

街の運命を背負うというヒロイックなドラマに放りこまれるも、まったく普通の女子高生でしかないしじみの戸惑いっぷり、ときにヤケクソになりそうなところもリアル感を醸し出す。
リピートを繰り返したために時空に負荷がかかり、竜宮町にはさまざまな異変が起こり始める。リピートのチャンスは永遠ではないのだ。
50年前にしじみと同じミッションを遂行したしじみの祖母も登場し、物語はいよいよ佳境へ。

海風になびくヒロインの黒髪。恋する瞳のきらめき。降り注ぐ真夏の陽光と、それが作り出す色濃い影。高校生ならではの健康さを持てあます、気だるい夏休みのムード。
終わらない夏の日をあますところなく映し出す画面は、せつなさとときめきに充ち満ちている。



<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
「ド少女文庫」

単行本情報

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