『猫系彼女と草食男子』第1巻
こいずみまり 竹書房 \650+税
(2015年1月27日発売)
「草食男子」という単語もすっかり定着した。
もっとも、「恋愛に興味がなくおとなしいヤツ」のような、いい意味で使われないことのほうが多い。
主人公の日下部も、「草食系」と言われる社会人。決してモテないわけじゃない、草食男子扱いされると恋愛が一気に冷めてしまい、夢中になれないのだ。
彼のもとに転がりこんできたのは、高校時代のクラスメイトの女性・根古田(ねこた)。住む場所がないといってルームシェアすることになる。あまりにも無防備すぎる。
彼女にまったく劣情を抱かないわけではないが、彼はまじめだから踏みとどまる。ここが彼の草食系たるゆえん。
草食男子とは恋愛をしない男子ではなく、一生懸命生きる誠実な男性のことではないか? と感じさせる4コママンガだ。
日下部は会社間の大きなトラブルを解消すべく、身を削って奔走する。彼に好意を寄せる女性・小早川にも真摯に接する。
一方で、甘える気まぐれ猫のような根古田は自由奔放。だがワガママを通すのにはもちろん理由がある。彼女は小早川と日下部の関係を応援しながらも、日下部のために身を売りかねない危うさを抱えている。
2人とも、たしかに抜けている部分がある。しかし生きるために必死になって、恋愛がうまくまわらない彼・彼女を攻めることはできない。
たまたまおとなしかったり、ワガママだったり。その生き方を「草食系」「猫系」という言葉でカテゴライズすることはできない。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」