『オトノバ』第2巻
河上大志郎 講談社 \565+税
(2015年2月6日発売)
「オレはいずれ世界一のアーティストになる!」と豪語するダイスケ。いいねぇ~、いまどきめずらしいビッグマウス。
27歳になったら頭にマグナムぶちこんで死ぬ、とまで言うロック伝説志願も高校生らしくていいぞいいぞ!
転校生でイケメン、しかもがっつり本格的にバンド活動をやってる山寺の存在に刺激され、コピー修行を卒業。バンドメンバーもどうにか揃って、まずは文化祭ライブに向かって本格始動する。
しかし、山寺がかつてメンバーだった売り出し中の新人バンド“グライダーズ”の性格悪~いギターボーカル君に目をつけられ、ダイスケのバンドは思わぬかたちでデビューステージを飾ることに。
グライダーズのレコ発ライブでのゲスト出演は吉と出るか、凶と出るか!?
「自分にはできる!」と信じる気持ちと、突きつけられる現実に苦しむ高校生の姿が生々しい。バンドを、自分の音楽をゼロから作っていく難しさもリアルに描かれ、ここからの主人公たちの歩みが楽しみだ。
バンドにはかかわらず、外からダイスケに冷静な助言をする親友・千尋もいい味。これからライバルになっていくだろう山寺ともども注目したい……そうしたキャラクターの存在も、物語のクオリティを高めていると感じる。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
「ド少女文庫」