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3月6日は「新日本プロレス」旗揚げの日 『劇画 プロレス地獄変』を読もう! 【きょうのマンガ】

2015/03/06


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『劇画 プロレス地獄変』
原田久仁信 宝島社 \743+税


あなたにとってプロレスのヒーローといえば、誰が思い出されるだろうか?

3月6日は、プロレス黄金期のスター選手たちを輩出した、新日本プロレスリングが設立された日。
1972年1月13日、株式会社として設立された新日本プロレスは、同年3月6日、東京・大田区体育館で旗揚げ戦を開催。メインイベントとしてアントニオ猪木vsカール・ゴッチ戦が行われ、カール・ゴッチが勝利をおさめている。

そもそも新日本プロレスが誕生したのは、当時所属していた団体・日本プロレスで猪木が起こした、経営乗っとりのクーデターに端を発している。
これによって日本プロレスを除名された猪木は新日本プロレスを創立。一方、タッグパートナーであった猪木とともに、立つつもりだったジャイアント馬場も、同年の1972年に日本プロレスを離脱して、全日本プロレスリングを旗揚げすることになる。

プロレスは、一方ではスポーツで、一方ではビジネス。リングでのぶつかり合いが見る者を興奮させるが、その外ではさまざまな思惑と欲がぶつかりあいもする。
しかしそこにも、戦いのドラマはあるのだ。

原田久仁信『劇画 プロレス地獄変』は、まさにそれを見せつけてくれる。
本作は、「別冊宝島」のプロレスシリーズに掲載された作品をまとめたもの。猪木の北朝鮮興行の裏側や、馬場と彼を敬愛した渕正信の秘話など、13の逸話が収録されている。

原田久仁信といえば、人気レスラーたちに迫った『プロレススーパースター列伝』で知られるが、本作はときにほろ苦く、ときに滑稽に、プロレスにしか生きられなかった男たちの生き様を描き出す。

プロレスにまつわる記念日に、かつての黄金時代に郷愁をはせながら読むのに打ってつけの一冊。
とくに新日本プロレスで悪役として猪木の相手をさせられたラッシャー木村をめぐる物語は、レスラーの悲哀がにじむ。涙すること、間違いなしだ。



<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌「ぴあMovie Special 2014 Autumn」が9月17日に発売に。『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』パンフも手掛けています。

単行本情報

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