『ちきう☆防衛軍! セハガール』
セガ(作)岐部昌幸(脚)榎本俊二/押切蓮介/田中圭一/葉生田采丸 ほか(画)
KADOKAWA \880+税
(2015年2月26日発売)
「セハガール」とは、ドリームキャスト、セガサターン、メガドライブなど、セガのハード(ゲーム機)を擬人化したプロジェクト。
とにかく数が多く、セガハードウェアの歴史を感じる。
で、この本はセハガールのアンソロジーコミック。なのだが、執筆陣がおかしい。
セハガールで「獣王記」ネタを描くのは、手塚治虫や本宮ひろ志の絵柄でマンガを描くのを得意技とする、田中圭一。
「バーチャファイター」を描くのは、「ファミ通」でもマンガ連載をしている、シュールネタが得意な和田ラヂヲ。
萌え系のキャラデザなのに、どうしてこういうラインナップになったのか……。
このアンソロのなかでもっともセガファン的に注目すべきは、サムシング吉松の「ルーマニア#203」。
アニメーターとしても活躍している彼は、たいへん熱心なセガのファン。様々な雑誌で、『メガドラ兄さん』『ドリドリキャス子さん』というマンガを執筆。擬人化、というよりはゲームハードに手足がはえたキャラクターで、セガ自虐ネタを続けている。
これらのマンガは、単行本『セガのゲームは世界いちぃぃぃ!』に収録されている。
そのサムシング吉松によって、セハガールたちとドリドリキャス子さんがコラボしてしまった。ドリドリキャス子さんは、そもそも非公式キャラだったことを考えると、なかなか感慨深い。
セガハードが出続けていた頃のドリドリキャス子さん。懐古趣味的に作られた擬人化美少女セハガール。セガハードへの特異な愛情が生んだ作品だ。
ほかにも、『ピコピコ少年』の押切蓮介、葉生田采丸、壱、榎本俊二と、ラインナップがめちゃくちゃな1冊。
榎本俊二版の「ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド」は、完全に『えの素』の世界になっているので、安心して楽しめます。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」