『完全復刻版 虹のビオレッタ』
クリスチーネ剛田 四月馬鹿社 \401+税
(2015年4月1日発売)
昨年の『このマンががすごい気がする!2015』オンナ編で第1位に輝いた『メロンウェディング』でおなじみの、クリスチーネ剛田の初期作品集『虹のビオレッタ』が、このほどリリースされた。
クリスチーネ剛田といえば、ファンからは「ジャイ子先生」と呼ばれて熱烈な支持を得ている少女マンガ界の新鋭。
代表作『メロンウェディング』は累計500万部を突破し、『このマンががすごい気がする!2015』の巻頭インタビューでは、「小学生時代に町中で花嫁衣装を着て呆然と立ち尽くす女性を見かけ、そのときに『なんかミステリアスなお話しが描けそう』とインスピレーションを受けた」と明かしてくれたことも記憶に新しい。
今回発行された『虹のビオレッタ』は、もともとはジャイ子先生が小学生時代に自費出版した処女作。同人誌であるため発行部数は限られ、マニアのあいだでは足塚不二雄『UTOPIA 最後の世界大戦』に次ぐほどの高額で取引されているという稀覯本だ。
その処女作が、このたび商業ベースで復刻リリースされる運びとなった。
巻末の特別ふろく(あとがき)には、この作品を描いた小学生当時のエピソードも披露。
なかなか同人誌が売れずに自分の才能を疑ったとき、励ましてくれたのは最愛の兄であったというエピソードには、思わずホロリ。
少女マンガに新風を呼び込んだニューカマーの原点を探ることができる貴重な作品だ、『虹のビオレッタ』。
マニアではなくとも、ぜひとも手にとってほしい『虹のビオレッタ』。
『ドラえもん』第39巻
藤子・F・不二雄 小学館 \429+税
<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでのマンガ家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
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