『独眼竜 伊達政宗』第1巻
岡村賢二 リイド社 \524+税
1636(寛永13)年の旧暦5月24日は“独眼竜”伊達政宗が病没した日である。
享年70歳、晩年は仙台城下の発展に力を尽くしたという。
なみいる戦国武将のなかでも「人気ナンバー1」の呼び声も高い伊達政宗。
ちょっと古い話でいえばNHKの大河ドラマ『独眼竜政宗』や、最近ではゲーム『戦国BASARA』の影響も大きいようだが……なにしろ関ヶ原の合戦時、30歳そこそこの若武者で、あと10年早く生まれていれば天下をとっていたのではとも言われる。
それでも関ヶ原での活躍で仙台藩62万石の基礎を築いたのだからじゅうぶんおいしいポジションなのでは? さらには「伊達者」という言葉の語源にもなったドハデなファッションをこなすセンス、幼少時の病気による隻眼さえもキャラ立ちに一役買っている。
強く華やかな男、伊達政宗を描いたマンガは少なくないが、ここで紹介するのは歴史コミックの手練れ、岡村賢二による作品だ。
冒頭は、若干23歳で奥羽の約半分を掌中におさめた政宗が、ときの関白・豊臣秀吉に召集されるも半年もの間ほったらかしにして怒りを買ったエピソードから。
ダイナミックな画面に規格外の変わり者にして人をひきつけやまない政宗の、人として、男としての魅力がほとばしるエンターテインメントだ。
関ヶ原の戦い、仙台藩の開府、そしてスペインの宣教師との親交から慶長遣欧使節の実現、大坂夏の陣……全2冊でコンパクトに、伊達政宗の活躍を知る格好の入門書といえるだろう。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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