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『清々と』第4巻 谷川史子 【日刊マンガガイド】

2015/05/24


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『清々と』第4巻
谷川史子 少年画報社 \555+税
(2015年4月24日発売)


作品の舞台は、挨拶が「ごきげんよう」な名門女子校・鈴蘭女学院。
一般家庭で育った少女・田中清(さや)は、高校から憧れのこのお嬢様学校に通うことになり、必須である部活を探すなかで新任の男性教師・本八幡がひとりでバラ園を世話していた園芸部へ入部することに。
そうしていつしか、清は本八幡先生に惹かれていくのだが――。

短編の名手として知られる谷川史子が臨む長編マンガ『清々と』、その4年ぶりの新刊が、3・4巻の2冊同時発売され、物語は完結を迎えた。

清の高校入学からはじまり、友情や恋愛、将来の問題に悩む、かけがえのない3年間をていねいに追った本作の筆致は、「ヤングキングアワーズ」(少年画報社)という青年誌での連載ながら(あるいはむしろ青年誌であるがゆえにことのほか)清らかに清らかに流れる。

事実、清はことあるごとに涙を流す。
様々な経験が流させるその涙は、その経験がどれも交換不可能であるように、まるで違った泣き顔として誌面に現れるだろう。
そのときそのときの心の揺れが涙となり、そして涙を流すたびに清は少しずつ少しずつ変化していく。

本作はそんな清の「100万回」の泣き顔が刻む青春と成長の物語である。



<文・高瀬司>
批評ZINE「アニメルカ」「マンガルカ」主宰。ほかアニメ・マンガ論を「ユリイカ」などに寄稿。インタビュー企画では「Drawing with Wacom」などを担当。
Twitter:@ill_critique
「アニメルカ」

単行本情報

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