『放課後カタストロフィ』第1巻
猪原賽(作) 平尾リョウ(画) 小学館クリエイティブ \550+税
(2015年5月2日発売)
ノストラダムスの大予言をおぼえているだろうかッ!?
「1999年7の月」に「恐怖の大王」が降ってきて人類が滅亡するという、例の“アレ”であるッ! 日本では1973年に五島勉が『ノストラダムスの大予言』(祥伝社)を出版すると、テレビや映画など各メディアで大々的に取り沙汰され、日本中のチビッコたちを「な、なんだって―――!!」と恐怖のドン底にたたき落としたものだ。
とはいえ、大人になってまで“アレ”を信じている人は相当に頭が“アレ”な人だけで、現実の1999年はいつもの年と同様に粛々と進み、人類は滅亡することもなく、その2年後に月面でモノリスを発見して宇宙への旅に出発するわけでもなく、現在に至っているわけである。
『放課後カタストロフィ』の時代設定は2015年7月。
「恐怖の大王」が16年遅れで降臨し、地球を滅ぼそうとするのだ。空から降り立った「恐怖の大王」は、なんと金髪ツインテールのロリ体型美少女ッ!? しかも遅刻した理由を聞けば、愛嬌たっぷりに「寝坊?」と答えるのだから、かわいいやらイラつくやらで、大王ちゃんの“かわイラ”しさは世紀末級(2015年だけど)。
主人公・九十九シトネ(ノストラダムス17世)の機転によって、どうにか人類は即時滅亡は避けることができたものの、世界征服をたくらむ秘密結社・イルミナティや魔術教団らが大王ちゃんを狙って姿を現す。
オカルト全乗せマシマシのトンデモな世界観が、『ノストラダムスの大予言』に震え上がった世代にスマッシュ・ヒットすることはうけあいだ。
大王ちゃんは自分の手で人類を滅ぼすまで、ほかの誰にも地球滅亡をさせたくないので、あらゆるオカルト組織を敵に回して騒動を起こしまくる。
寝坊しても、スイーツに目がなくても、そこはやっぱり「恐怖の大王」。とんでもない破壊力の攻撃で、悪い組織をバッタバッタとなぎ倒し……って、あれ? これじゃあまるで正義の……、まあいいか、掲載紙は「月刊ヒーローズ」(小学館)なんだし。
とりあえず人類が滅亡するまで、大王ちゃんの繰り広げるドタバタ・コメディを楽しんではいかが?
<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでのマンガ家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama