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『そうだ、食べ放題いこう。』 西つるみ 【日刊マンガガイド】

2015/06/02


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『そうだ、食べ放題いこう。』
西つるみ 祥伝社 \680+税
(2015年5月8日発売)


「食べ放題」ときいてパッと思いつくのはなんだろう? 焼き肉? しゃぶしゃぶ? 最近では居酒屋で唐揚げ食べ放題なんてものもあったっけ。
筆者は、デブな男のせいか「食べ放題」の言葉にはとにかく大量の肉を胃に詰めこむという“オトコの世界”的な先入観があった。

実際、料理マンガのなかでの食べ放題レポートは、料理がどれだけ大迫力でそれを勢いよく食って「うめえ!」と叫ぶかというシーンが多かったように思う。
これも食べ放題という言葉の持つオトコっぽさが産んだ傾向なのかもしれない。そこでは一点豪華のビガクがあったように思える。

本作『そうだ、食べ放題いこう。』は、そんな食べ放題を女性漫画家と女性編集者が回ってレポートする体裁のマンガで、そんなオトコ目線バキバキのまま読んだ筆者がたじろぐほど新しい“食べ放題モノ”と言っていい雰囲気があった。

作中主人公の女性漫画家(西つるみ)の食べ放題の現場の評価の方向性が、「種類が沢山!」「野菜がいっぱい!」「ヘルシー!」「スイーツが充実!」なのだ。
いや、一般女性のお店のチョイスからすれば当然そうなるとは思うんだけど、“食べ放題”でも「ヘルシー!」って評価軸が健在だったのは素朴な驚きを筆者に与えた。

極めつけは、食事の感想が「うるおう~!」だったこと。
「うめえ!」のバリエーションではなく、水分含有量で褒めたよ!

“食べ放題”らしく、あとで何も食べられないほどに胃に食事を詰めこむ描写も、回が進むにつれて登場人物が太っていく描写もバッチリ描かれ、大枠では食べ放題食レポにのっとった楽しさは十分あるんだが、“食べ放題=戦い”ととらえがちな筆者のような男性には、目にウロコのシーンが多数ある。

また、食べ放題の舞台も、肉は肉でも焼き肉でなくシュラスコをチョイスして、今の流行もわかる作りになっており、ホテルのビュッフェや予約制ケーキバイキングなどが多め。
筆者のなかでビュッフェは食べ放題カテゴリに入ってなかったわ、そういえば……。ほら、ホテルって緊張するしね……? 今度行ってみよう。

メイン読者であろう女性はもちろん、グループでエンタメ性の高い食べ放題に行きたい人や、女性と一緒に楽しむ食事を知りたい男性にもオススメの一作だ。



<文・久保内信行>
編集・ライター。アニメを主食にアイドル・サブカルチャーから経済、そして料理評論家まで心の胃袋に貯まるコンテンツを愛好しています。現在「mitok」にてWeb連載中。
URL:http://mitok.info/

単行本情報

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