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『幻魔大戦 Rebirth』第1巻 平井和正/石ノ森章太郎(作) 七月鏡一(脚) 早瀬マサト/石森プロ(画) 【日刊マンガガイド】

2015/06/10


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『幻魔大戦 Rebirth』第1巻
平井和正/石ノ森章太郎(作) 七月鏡一(脚)
早瀬マサト/石森プロ(画) 小学館 \552+税
(2015年4月17日発売)


悠久の過去より大宇宙を破壊し続ける負の意識体、幻魔! 異星のサイボーグ戦士ベガ、テレパシストのプリンセス・ルナ(ルーナ)、瞬間移動能力を持つソニー・リンクス(サンボ)、そして強大な念動力者の東丈は、来るべき幻魔大戦に備えて立ち上がる――。

1967年、平井和正と石森章太郎(現:石ノ森章太郎)による共作『幻魔大戦』が、「週刊少年マガジン」(講談社)で連載されていた。
当時、平井をはじめとするSF作家たちが、コミックの原作やTVアニメの脚本を手掛けることは頻繁に行われており、本作もそういった流れを汲んでいるもののひとつと考えていいだろう。しかし、この夢の最強タッグが生み出した壮大なSF大河ロマンは、連載開始から1年を待たずして打ち切りの憂き目にあってしまう。幻魔の地球司令官シグと、ニューヨークに集められた地球上のエスパーたちの戦いの決着は描かれることなく、天空にかかる途方もなく巨大化した月に浮かぶ骸骨のアップという絶望的なシーンをもって連載は終了。

また、のちに「S-Fマガジン」(早川書房)で連載された劇画ノベル『新幻魔大戦』では、幻魔に滅ぼされた未来から江戸時代へとタイムリープした超能力者の香川千波と、幻魔に憑依されて魔人と化した由井正雪との戦いが描かれている。正雪は東丈の過去世とされており、現在では“すべての幻魔ワールドの起点”となっている作品なのだが、こちらも物語の終結を迎えることなく連載終了。その後、平井と石森は、それぞれが専門とするフィールドで独自に幻魔大戦サーガを紡いでいくこととなる。
平井が『新幻魔大戦』及び『幻魔大戦』の小説版、さらに『真幻魔大戦』『ハルマゲドンの少女』『幻魔大戦deep』といった続編、サイドストーリーを執筆する一方で、石森もまた、「リュウ」(徳間書店)で『幻魔大戦 神話前夜の章』を連載している。幻魔に月を墜とされて文明の滅びた地球を舞台に、マ族=幻魔とヒトの間に生まれた双生児の戦いを描いた作品だったが、またも幻魔との決着はつけられぬまま“突然の終わり”を迎えてしまう。
 やがて両氏が鬼籍に入り、2つにわかれた幻魔ワールドの合流は、その可能性が示唆されながらも果たされる機会を永久に失ってしまった……と思われていた。

だが2014年夏、小学館のWEBコミックサイト「クラブサンデー」にて、まさかの続編『幻魔大戦Rebirth』の連載が開始される。作画はもちろん、『サイボーグ009 完結編 conclusion GOD'S WAR』の早瀬マサト・石森プロが担当。気になる脚本は、『ARMS』『闇のジーザス』などで知られる七月鏡一だ。
かつて平井からの推薦で『8マン・インフィニティ』の原作を務めたこともある七月だけあって、早々に小説版のキャラクターや描写が引用されている。おまけに東丈の親友として、あのジュンをキャスティング。まさしくスーパー平井&石ノ森大戦の様相を呈している。

今回のストーリーは、ルナの娘であるステラとサイボーグ戦士ベガが、月を墜とされて人類が敗北した世界(つまり、リュウ版『幻魔大戦』の時代!?)から、まだ地球が滅んでいない平行宇宙に跳ぶというマガジン版『幻魔大戦』のラストを引き継ぐ形で始まっており、平行宇宙の東丈やソニー・リンクスらも登場する。
かつての展開をなぞるように、幻魔大戦に備えて地球エスパー戦団が結成されたのち、かのニューヨークでの戦いが始まるのだろう。今度こそ彼らは幻魔を倒すことができるのだろうか?

余談だが、マガジン版の終盤には、001やさるとびエッちゃん、ミュータント・サブといったエスパー系石ノ森キャラクターが大集合するくだりが存在する。このまま順当に物語が進めば、今回も彼らが姿を現してくれるはず……。
俺は見たいぜ、幻魔に逆転チェストを決めるイナズマンの勇姿が! 今度こそ打ち切られないよう、みんなで応援しよう!!



<文・ガイガン山崎>
暴力系エンタメ専門ライター。新人類をこよなく愛する。好きなハンマーデスパーはハンマーデスパー2。

単行本情報

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