『中学性日記』第2巻
シモダアサミ 双葉社 \670
(2014年6月10日発売)
身体も心も揺れ動く、中学1年生たちの性のお悩みを描くオムニバスストーリー。
中学生といえば、成長の差がかなり激しいとき。
初潮がまだで悩んでる子もいれば、Eカップおっぱいをもてあましている子も……。一方、男子どもはチン毛のあるナシで大騒ぎ!?
このあたりは比較的ポピュラーな中学生あるあるにしても、性の悩みや関心のポイントは人の数ほどあるもので。
最新巻でもっとも印象的だったのは、いつからか気になり出したクラスメートの指を見るたびに股間がキュンとしちゃう、という男子のエピソード。
なぜ、顔じゃなくて指なんだろう? なぜ、ハートじゃなくて股間がときめくんだろう?
大人になってもわかりやしない“恋の始まり”を正確にとらえていて天晴れだ!
同じクラスの面々を追った連作形式なので、キャラたちの成長過程をウォッチするのも楽しみどころ。
大人っぽくてモテる同級生を懸命にマネる男の子、「自分はアイドルにキャーキャー言ってる子たちとは違う」と思っていた女の子……彼らがどう変化していくのか、この先を知りたいキャラたちがいっぱいだ。
読みながら、自分の中学生時代が思い出されてならない。
「エロ本なんか興味ない、汚らしい」と公言してた男の子、「黒いストッキングはいやらしい」とすごい発見をしたように言っていた男の子。それから、おもしろがってエロ短歌を書いてた私に「あなたは私たちの年ではいやらしすぎると思う」とまじめに忠告してくれた女の子のこと。
小さなことにときめいて、一生懸命考えて、それでもときには間違った方向に暴走してしまったり――あの頃を思い出しながら微笑ましい気持ちで読める作品だ。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ド少女文庫