このマンガがすごい!WEB

一覧へ戻る

『コンプレックス・エイジ』第4巻 佐久間結衣 【日刊マンガガイド】

2015/06/14


COMPLEXage_s04

『コンプレックス・エイジ』第4巻
佐久間結衣 講談社 \570+税
(2015年5年22日発売)


コスプレは、長く続けるには難しい趣味だ。
年齢による身体の変化、家族や周囲の理解。年々難しさは増していく。

主人公の片浦渚(26)は、アニメ『マジカルずきん☆ウルル』のコスプレに命をかけている。
衣装には一切の妥協を許さない。撮影のために遠出もする。ポージングをしっかり学び、「完璧」なコスプレを追求する趣味者だ。
しかし、親が許すとはかぎらない。つきあっている男性には「趣味に夢中な自分」を認めてもらえず、別れてしまう。
そして、ウルルは小さい少女なのに自分は高身長。

渚の派遣先の正社員、葉山は偶然コスプレ仲間だとわかり、渚と意気投合した。
ところが会社の同僚にバレたうえに、ネット上にアップした写真を暴かれてしまい、仕事をやめ、過食に陥ってしまった。

明るく元気で小柄な栗原綾。渚に出会ってともにコスプレ活動に励んでいる。
ところがネット上の盗撮写真や誹謗中傷攻撃を受け、心がボッキリ折れてしまう。

マイナスなことも多い、コスプレ活動。「なんでやるの?」「何が楽しいの?」理解はされづらい。
片浦渚たちの活動は遊びだ。だが真剣に遊べば、心を動かす「作品」になる。

4巻では、以前会ったコスプレイヤー・りうが、栗原綾を徹底してネット上で炎上させようとする、レイヤー間の嫉妬問題について描かれている。
コスプレをしていれば起きうる問題ばかり。それでも渚たちは「諦められない」「好き」と乗り越える。

読み切り版(作中では渚の母親の話になっている)ではネガティブだったコスプレへの感情も、連載では「何があっても続けるんだ」という強固な決意に変わっている。
しかし、自分がどうがんばろうとも、友人が結婚し、コスプレをやめようと決意したら、それは止められない。
「コスプレ」という楽しい趣味。それは同時にみずからの身体の「コンプレックス」への対面でもある。

「ババァのくせに いつまで幼女のカッコなんかしてんの?」
大丈夫。嫌われるのは慣れっこなんだから。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

  • 『コンプレックス・エイジ』第… Amazonで購入
  • 『コンプレックス・エイジ』第… Amazonで購入
  • 『コンプレックス・エイジ』第… Amazonで購入

関連するオススメ記事!

アクセスランキング

3月の「このマンガがすごい!」WEBランキング