『ママさんは萌え漫画家』第1巻
こげどんぼ* マッグガーデン \983円+税
(2015年5月14日発売)
「私は一生 妄想を紙に描いて生きていければ それで幸せじゃよー」とクダを巻いていた、独身女性漫画家・コゲどんぼ*。
ところが、“プチミリオタ歴女”でもあった彼女が自衛隊の話を聞きたいと考えているなか、ある男性と縁ができて、交際から結婚へ! しかも相手はなんと、幹部候補生の自衛官。
ただ、彼には自分の職業が漫画家で、アキバの象徴「デ・ジ・キャラット」の生みの親でもある“こげどんぼ*”だとは明かしてなくて……!?
そんな異色カップルの結婚エッセイ『ヨメさんは萌え漫画家』の続編が、本作『ママさんは萌え漫画家』。
タイトルどおり、萌え漫画家である奥さんがママになるまでが描かれている。
職業ものや夫婦もののコミックエッセイは、大概がギャップや発見で笑わせて、ほのぼの読ませるもの。もちろん本作にもそうしたおもしろさがあるが、それ以上にドタバタなことにも驚かされる。
『ヨメさんは~』では、結婚式当日に台風! そして本作では、妊娠初期のつわりがひどいなかで、1年前から決まっていたイベントの仕事でアメリカへ!!
それでも結婚式にしろアメリカ行きにしろ、なんだか丸く収まって、さらなるうれしいことや楽しいことが待っているというのも、このご夫婦のすごいところ。
いや、こういうのが縁ってもので相性っていうものじゃないんだろうか。波乱があっても、それがおもしろい方向に転んで、幸せが待っている。そうなれる、そうできる縁で相性。異色カップルで読ませるエッセイながら、その組み合わせのよさこそ感じさせてくれる作品だ。
妊娠や出産にまつわる辛い事情も、赤裸々というほど気負わず、またさらりというほど軽視せずに触れているのも、作品として好ましい。
それでもすべてがうまくいくのは、こういうスタンスのご夫婦だからなんだろうなぁとも思わされる。
さて、出産にはどんなドタバタとハプニングが待っているのか? それは読んでのお楽しみ。
しかし奥さん、当初の希望どおり、子どもを防衛大学校に入れることになるんでしょうか!?
<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌『ぴあMovie Special 2015 Spring』が3月14に発売に。映画『暗殺教室』パンフも手掛けています。