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『ヨーコさんのちょっと早めの老い支度』 岸本葉子(案)かずはしとも(画) 【日刊マンガガイド】

2015/07/14


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『ヨーコさんのちょっと早めの老い支度』
岸本葉子(案)かずはしとも(画) 秋田書店 \ 900+税
(2015年6月30日発売)


エッセイストの岸本葉子の人気シリーズ『ちょっと早めの老い支度』を原案にしたコミックエッセイ。

「終活」という言葉が一時期ブームになったが、死を見据えた身辺整理にはまだまだ早すぎるアラフィフ独身女性のヨーコさんの提案する「老い支度」とは、人生を楽しみながら老いを迎えるための、いわば「生活のヒント集」。

数年前にがんを患い、完治して現在は元気で仕事も遊びも精力的にこなしているが、探しものがすぐに見つけられなかったり、油っこい食べもので親の老いを目の当たりにしたり、「老い」を意識することも増えた。
そんなヨーコさんの人生後半戦を元気に快適に謳歌するためのアイデアは、日常の些細な、だからこそ気づかない、しかし必ず役に立つであろうことばかりで、目からウロコ!
「メモを取ることを習慣づける」とか「筋肉をつけてコントロールが効く身体を維持する」とか「安否を確認しあう人を持つ」とか、アラフィフにはまだ早すぎるという人も、思わず心にメモりたくなります。(いや、心ではダメなのだ……!)

マンガを担当するのは「まんがグリム童話」シリーズなど、ホラー&レディコミを中心に活躍する、かずはしとも。
原作のエッセンスを大切にくみ取りつつ、マンガならではのメリハリの効いた展開で読ませる、職人的テクはさすが。肩肘はらない、ほのぼのした世界観も柔らかな絵柄とマッチしている。

にしても、コミックエッセイはいまや「女ひとり旅」「断捨離」「老い支度」「介護」など、中高年向けハウツーもので大盛況。
多忙のなか、サクッと読めて情報がひとめでわかる。そんなキャッチーさもマンガの重要な機能なのだなーと、改めて感心した次第なのです。



<文・井口啓子 >
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて『おんな漫遊記』連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69

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