『げんしけん 二代目の九』第18巻
木尾士目 講談社 \600+税
(2015年6月23日発売)
いつの日かと恐れていた、いつの日かと夢見ていた……『げんしけん』連載再開後に刊行された単行本の巻数が、再開前の巻数に追いつく日を。
そんなわけで、代替わりしてからの現代視覚文化研究会の活動も、ずいぶん長くなってきた。
しかしながら、OBになってもやたらとサークルに顔を出す斑目晴信(まだらめ・はるのぶ)と、どう見ても女性にしか見えない「男の娘」な波戸賢二郎(はと・けんじろう)の2人を中心にした、やたら複雑な人間模様は、終わりに向かうどころか、ますます混迷の度合いを深めるばかり。
斑目に対する自分の恋心を認め、恋愛に積極的になった波戸。その様子を見て心をざわつかせる「斑目ハーレム」の面々。
しかし、だれもが膠着した事態の打開策を持たず、斑目本人もなんともかんとも。いっぽう、波戸のことが異性として気になってしょうがない女子部員の矢島美怜(やじま・みれい)は、創作活動に乗り出すことで、恋愛成就のかすかな可能性を手にする。
そんな混戦模様のタイミングでにわかに発生したイベントが、サークル全員で行く卒業旅行。
向かうは日光、そして、当然のように起こるハプニング!
いったい、どうなってしまうのか。さらば優しき日々よ、もう戻れない……のか!?
連載長期化もなんのその、ますます目が離せない。
<文・後川永>
ライター。主な寄稿先に「月刊Newtype」(KADOKAWA)、「Febri」(一迅社)など。
Twitter:@atokawa_ei