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『決してマネしないでください。』第2巻 蛇蔵 【日刊マンガガイド】

2015/07/17


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『決してマネしないでください。』第2巻
蛇蔵 講談社 \560+税
(2015年6月23日発売)


充電はあるのに、電圧が下がって動かないバッテリーを復活させたいときはどうすればいいのか?
答えは、人肌で温める。そうするとバッテリーは復活するのだ!

そんな科学的な豆知識が満載なのが、最新第2巻が発売中の『決してマネしないでください。』だ。
著者は、『日本人の知らない日本語』の蛇蔵。
工科大学の研究室を舞台に、最高の頭脳を誇る仲間たちが、日常のささやかな疑問を最高におバカな実験で解いていくという、“大人が読める学習マンガ”だ。

現在「モーニング」連載中で、第1巻には「スタントマンが燃えても平気な理由を検証する」「切れた蛍光灯を灯す」「フライドチキンで骨格標本を作る」、第2巻には「パソコンが水没したらどう対処する?」「残り少ない瓶入りのケチャップをうまく出すには?」「乾電池の発明者は日本人だった?」などのエピソードを収録。
実生活にも役立つ豆知識も満載なうえ、天才とアレは紙一重な奇人・変人たちのおもしろエピソードもたくさん取り上げられている。

そうやって作中で紹介される情報がおもしろいのは当然だけれど、なによりマンガとして純粋におもしろいのが本作。主人公は研究室に所属するオクテの学生・掛田くん。彼が想いを寄せる学食の飯島さんと距離を縮めていけるのかどうかというのが、ストーリーの軸にもなっている。そもそもさまざまな実験を繰り返しているのは、その飯島さんへの想いや、アプローチを科学的に読み解こうとしてのもの! 努力の方向性、間違ってるよ! でも全力で何かに打ち込む彼らの姿は、じつに楽しげだ。

そんなラブコメ未満のラブコメと、理系の仲間たちのかけあいとノリ(クールなのにハチャメチャ!)だけで大いに笑わされる。
科学の知識量においても、マンガとしての見せ方のうまさにおいても、マネのできない一作だ。



<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌『ぴあMovie Special 2015 Spring』が3月14に発売に。映画『暗殺教室』パンフも手掛けています。

単行本情報

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