『BLOODY MONDAY』第1巻
龍門諒(作) 恵広史(画) 講談社 \400+税
よく刑事ドラマなどで「公安」と呼ばれているのは、国家の体制を脅かす事案に対応する公安警察。
対して「公安庁」と呼ばれる公安調査庁は、大きな脅威に関する情報を収集する法務省外局の治安維持組織である。
公式サイトをクリックすると目に入るキャッチフレーズは「すべては国民の安全のために」「情報の力で国民を守る」。
この公安庁が設置されたのが1952年(昭和27年)7月21日。これを記念して「公安調査庁設置記念日」に制定されている。
……とはいえ、そもそも謎めいた機関だし、記念日だからといって、大々的に特別なことが行われるわけではなさそうだ。
そんな公安庁が登場するマンガといえば『BLOODY MONDAY』。
主人公の高木藤丸は、高校生ながら父親が所属する公安庁のエリート組織「THIRD-i(サードアイ)」の一員。もともと彼は高度なハッキング能力で数々の不正を告発していた天才ハッカーだったが、強固な防護プログラムを施された公安庁のシステムに侵入したことをきっかけに身元がバレ、その能力を高く買われて父の仕事を手伝うようになったのだ。
そんな藤丸にテロリストの魔の手が襲いかかる。
公安庁、ハッキング、テロリズムと大人向けの題材にもかかわらず、連載媒体が「少年マガジン」という点がキモ。
緊迫した展開のなかにもパンチラ・胸チラなどサービスカットが随所に挿入されるなど、明るさと軽さも持ち合わせている。それでも土台となるのは複雑に伏線が張り巡らされた濃厚なミステリー。
少年マンガとあなどるなかれ、先読み不能のストーリーに思わず引き込まれますよ!
<文・奈良崎コロスケ>
マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞中年。