『仮面ライダークウガ』第1巻
石ノ森章太郎(作)井上敏樹(脚)横島一(画)白倉伸一郎(企)
小学館クリエイティブ \570+税
(2015年7月4日発売)
本作は、企画を『仮面ライダーアギト』以後の平成ライダーシリーズの育ての親である白倉伸一郎、脚本を平成ライダーシリーズにおいて数々の名作を送り出してきた井上敏樹(TV版『クウガ』では全49話中9話に脚本として携わる)、そして作画は変身ヒーローマンガ『悪徒 -ACT-』で知られる横島一が努めており、オリジナルの基本設定を踏襲しつつも、TV版『クウガ』とは似て非なる物語を見ることができる。
髪型からしてTV版とはかけ離れている五代雄介は、本作の時代設定が2015年ということもあり、「2015の技を持つ男」として登場。
五代の頼れる相棒として活躍する一条薫は、TV版よりもずいぶんとフェミニンな印象のルックスになり、法の番人としての堅物さを持つ性格のキャラクターに。
沢渡桜子や杉田守道など、TV版でおなじみのサブキャラクターたちも登場しており、こちらも本作ではどのような動きを見せるのか気になるところ。
そんな人々と対峙するグロンギたちは異形さを増し、殺人ゲーム「ゲゲル」の凄惨さもグレードアップ。ダイレクトに殺人現場が映し出されていく。
なかでも、今巻で描かれる怪人ズ・ゴオマ・グによる殺しの手口は、コウモリ怪人であることを活かしてか、非常に吸血鬼度数の高い好アレンジが施されており必見だ。
また今巻ではグロンギだけではなく、人間による猟奇殺人も描写されており、胸焼けするほどの残虐描写の数々は、これから披露されるであろうゲゲルのパワーアップに期待をもたせられる(TV版でも充分ひどすぎたのに!)。
ラストシーンで満を持して披露される五代の変身など、じっくりと新たなる物語を読者に披露していく本作。TV版同様、伝説として語り継がれるものになるのかを、本作で初めて『クウガ』に触れた人や、TV版からのファンの方々に、ぜひとも見守っていただきたい!
<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
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