『花患』第2巻
木梨るなむ マッグガーデン \571+税
(2015年7月15日発売)
まず『花患』=花わずらい、とは何か。
それは植物の種が、免疫力の低下した人の傷口などから寄生し、根づいてしまう病気のこと。
発症率は低いが、専門医の治療が必須なのである。
その専門医こそが、柊樹(ひいらぎ・いつき)。
柊樹木医事務所の樹木医で、花わずらいの医者でもある。
柊家当主は、花わずらいの雌種を故意にみずからに寄生させる。
雄種に寄生されている患者は、花わずらいにかかっている間、自然と雌種を持つ樹が好きになってしまうのだ。
さて、彼の助手を務める椿春(つばき・しゅん)少年も、その患者のひとり。
樹にずっと心惹かれているが、その春のひたむきな想いが、樹に新たな感情を芽生えさせていく――。
第1巻では、花わずらいの患者を治療し、そのなかでのドラマを解決していくことがメインだったが、第2巻では、樹自身と、その姉である華の存在にスポットが当たる。
そしてそれを引っ張っていくのが、助手である春の、まっすぐな想いと行動だ。
春は15歳ながら、自分の存在や役目、そして樹への想いについて真剣に考え、悩み、一歩一歩着実に前へと歩んでいく。
樹のなかにずっとあった葛藤が、春によってどう変わっていくか、ぜひとも読んでたしかめていただければと思う。
たくさんの種類の花々が丁寧に描かれた画面も美しく、花や木々が好きな人、また白衣や眼鏡という萌え要素も満載なのでそこに惹かれる人にもオススメ。
この『花患』は全2巻で完結だが、姉の華の件や、この後の柊樹木医事務所がどうなっていくのかについても、非常に興味を引かれる。続編を期待したい。
<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」