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8月8日はそろばんの日 『願いましては』を読もう! 【きょうのマンガ】

2015/08/08


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『願いましては』
鈴木有布子 新書館 ¥590+税


8月8日は、社団法人全国珠算教育連盟の定めた「そろばんの日」だ。そろばんをはじく時の「パチパチ」という音に由来し、1968年に制定された。制定からすでに50年近く経っている、歴史ある記念日である。

そろばんを題材にした作品には、鈴木有布子『願いましては』がある。「願いましては」とは、そろばんの読み上げ算(読み上げられる数字を加法もしくは減法で合算していく)の際、最初に発せられるフレーズのこと。

怪我によってサッカーを諦めた主人公・相原拓海は、ひょんなことから珠算部に入ることに。
サッカーで鍛えた拓海の動体視力は、学園祭でフラッシュ暗算を披露することになったヒロイン・平安名有未(へんな・うみ)を助けられるか?

登場人物たちはそれぞれトラウマや問題を抱えつつも、それと向き合いながら、関係性を紡いでいく。
競技としての珠算をテーマとしているわけではなく、珠算部を舞台にした青春群像劇である。
それぞれが傷つけあいながらも、互いにいたわりつつ、関係がご破算にならないように努力して前を向いていく姿勢がいじらしい。

作中で「めざせ3級」とあるが、実際のところ、珠算の検定試験で最初のハードルとなるのが3級。
そこから一気に難しくなる(級によって試験内容は異なる)。「めざせ3級」というセリフが出てくるのは、珠算まわりの取材をきちんとしている証左といえるだろう。

ちなみに一級以降は、共通の試験内容での点数によって段位が認定されるようになり、乗法、除法、見取り算、伝票算、暗算、応用計算のほかにも開法(開平・開立)、つまりルートの計算も加わる。
そろばんひとつで、どんな計算でも可能なのだ。

<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama

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