『貧乳マイクロビキニーソ』
川村拓 マイクロマガジン社 ¥1,000+税
(2015年7月30日発売)
なんなんですか、このタイトルは!!
え、え、エッチなこと期待したのに! エッチじゃないじゃん!!
貧乳とニーソはあるけどマイクロビキニどこに行った!
という気持ちが一瞬で吹き飛ぶくらいニヤニヤできる、3人組のラブコメ4コマ。
メインになる登場人物は、オバカちゃんでハイテンションな少女・みゆき、純情童貞少年・前田杏介、ドSで2人をいじるの大好きなマキ。
みゆきがちんちくりんで、まるで小動物。手をパタパタさせるクセがあり、小鳥のよう。
2人のことが大好きで、ねーねーとキラッキラの笑顔で話しかけてくる。話し自体はかなりズレてるけど。
ツッコミどころが多く、なついたら離れない行動は、まるでわんこのよう。
こんなみゆきがもう好きで好きでたまらない前田くん。ベタぼれです。
彼がみゆきを好きなのを知らないのはみゆきだけ。妹にもバレバレ。
みゆきのオバカ行動を笑いながら、前田くんのラブにキュンキュンするこのマンガ。でもそれだけでは終わらない。全体のごくごく、ほんのごく一部に、みゆき側の心理が描かれる。
1コマさらっと彼女のしぐさが描かれるだけなのだが、これが秘めた感情のためレアなうえに、普段のテンションとのギャップがでかい。
彼女のその1コマを見てから読み直すと、胸キュン度倍増です。
マキは2人を眺めるポジションなので、ラブコメ要員としては絡まない。
だが彼女が2人をおちょくることで、とくに前田くんの恋愛をもてあそぶことで、物語がきゅっと引き締まる。ラブコメなだけではなくギャグマンガとしてのバランスが取られている。
オバカなみゆきの元気&胸キュンをはじめとして、3人のやりとり一つひとつが、心地いい。たぶん前田くんがみゆきに告白したら、物語はストンと終わってしまう気もする。
けれど、今はもうちょっとこの「いつもどおり」の関係を見ていたい。
「大人になったら、なんでもない日々がいい思い出だよね」って言いたいんです、おじさんは!
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」