『つーつーうらうら☆ダイアリーズ』第1巻
TAGRO(作) ヤス(画) 一迅社 ¥602+税
(2015年8月4日発売)
『とらドラ!』などのイラストや『じょしらく』で知られるヤスが、『変ゼミ』のTAGRO原作で描く……そりゃ何か起きないわけがない。
ねこみみ宇宙人のナンカ、巨乳宇宙人のアト、記憶喪失中の怪力女子高生の取手花奏(とりで・かなで)がハイエースに乗って津々浦々を旅する、ロードムービー的物語。地方うんちくも満載。
アトがアケビの割れ目に指突っこんで興奮したり、マツタケを見て興奮したり。さらっと変態的なネタを入れてくる。
さすがです、ヤス&TAGRO。
いわゆる「旅の恥はかきすて」作品。トンチンカンで変態なことをやらかすけれど、ハイエースに乗って移動しちゃえばそれまで。多少羽目外しても、いいよね。
第1巻で印象的なのは、死に場所を探しているヒッチハイカー・宇野雫のエピソード。
無論ヒッチハイカーだからどこかで降りる。とはいえ「死に場所」なんて言われたら、どう対処すればいいか迷ってしまう。
こういう驚きも、旅のひとつ。通りすぎればそれまでだ。
そんな彼女たちの旅にはたくさんの裏がある。
なぜ花奏は記憶喪失なのか。なぜ怪力なのか。宇宙人が地球でわざわざ車に乗っているのはなぜか。
しかし、そんなことは読んでいてすぐ忘れるくらい、3人の旅はマイペース。悲壮感はゼロ。描かれる3人の姿はとっても爽やかなのだ。
「ですからこうして 日本全国津々浦々 旅して周ってるんじゃないですか」とナンカが言うように、彼女たちの旅には目的がある。
が、それはただのこの日々を続けるための言いわけ。
大事なのは、今、楽しい旅を3人でしている、という事実そのものだ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」