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9月28日は教師節(教師の日) 『陋巷に在り』を読もう! 【きょうのマンガ】

2015/09/28


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

9月28日は教師節(教師の日)。本日読むべきマンガは……。

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『陋巷に在り -顔回伝奇-』第1巻
酒見賢一(作) 羽生生純(画) 新潮社 ¥571+税


紀元前からの歴史を有し、現在もなお中国の根幹となっている道徳思想・儒教。
始祖である思想家・孔子は三千人ものの弟子を持った偉大な教師としても知られており、台湾では孔子の誕生日である9月28日を教師節(教師の日)に定めている。

数多いる孔子の弟子のうち、特に秀でた十人は「孔門十哲」と呼ばれていたが、そのなかでも孔子が特に目をかけた弟子がいた。
孔子と弟子の言葉をまとめた書物『論語』にも幾度となく登場し、迸るほどの才能を有しながらも、孔子の教えを貫き清貧でありつづけた夭逝の天才・顔回だ。
その顔回を主人公に据えたマンガ作品こそ『陋巷に在り』(新潮社)である。

『墨攻』などで知られる酒見健一の小説を原作とし、『恋の門』『ジュウマン』など異端の感性を持つ作家・羽生生純がマンガ化した本作は、どこか慎ましやかさすら感じる題名からは想像もつかないような強烈な内容だ。
大まかなストーリーだけでいえば、「歴史上の偉人を主人公に据えた三角関係恋愛物語」だといえるかもしれないが、儒教の思想を軸にした哲学的な問答、異界との接触による幻想文学的側面、サイキッカー同士の戦いを描いたSFアクションマンガのようなド派手な呪術戦など、様々な刺激にあふれた万華鏡のような作品として完成している。

また、情熱的でありながらどこか酷薄さを感じる羽生生の特異な作風ともピタリと合致しており、ただのコミカライズ作品には留まらない迫力が漂っているところも見どころのひとつだ。

ちなみに『陋巷に在り』の原作小説の表紙は伝奇歴史漫画の先駆けとして知られる漫画家・諸星大二郎が描いており、諸星自身も『孔子暗黒伝』(集英社)で孔子や顔回を描いている。こちらも注目してほしい。



<文・一ノ瀬謹和>
涼しい部屋での読書を何よりも好む、もやし系ライター。マンガ以外では特撮ヒーロー関連の書籍で執筆することも。好きな怪獣戦艦はキングジョーグ。

単行本情報

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