日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは『孤独な鷹は人恋しくて』
『孤独な鷹は人恋しくて』
黒岩チハヤ プランタン出版 ¥660+税
(2015年8月26日発売)
西成勇誠は考える。
高校時代、勇誠に告白してきた後輩男子・大月穂鷹。
彼がなぜか、自分の上司である上田(♂)の「恋人」として目の前にいるのだ。数年ぶりの再会である。
当時、穂鷹に告白され、自分の好みにドンピシャだったにもかかわらず、恥ずかしさが勝って容赦なく彼をふってしまった勇誠。
穂鷹は傷つき、勇誠はあわせる顔もなく、それが今も心残りだった。
が、どんな形であれ、再び会えたからには二度と傷つけたくない。
そう心に誓う勇誠に対して、なんと穂鷹がとんでもないアプローチをかけてきて……?
さてこの物語、いくぶんというか、かなりひねくれてややこしい展開である。だが、そこがおもしろい。
受け攻めは確定しているものの、受け側の穂鷹が数年経ってピュアな高校生から魔性のゲイに変貌してしまっているものだから、勇誠は翻弄され、困惑しつつも心はどんどん揺れて穂鷹へとひきよせられていく。
穂鷹も穂鷹で、ストレートに勇誠を誘惑するわりに心はまだ傷が癒えていないものだから、どうやっても素直になれずにいる。
あちこち絡んだ感情の結び目をひとつひとつほぐしていくからこそ、そこに男性同士の恋愛のリアルさが感じとれるストーリー。
描線が美しく、また描かれる肉体も魅力的だ。そういうシーンも多めで、エロティックなBLが好きな方にはぜひおすすめしたい。
<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」