365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
10月3日はKOBE観光の日の日。本日読むべきマンガは……。
『白兵武者 戦国近接戦闘僧兵伝』第1巻
蝶野正洋(案) 石渡治(画) 小学館 ¥505+税
神戸市では、2004(平成16)年より10月3日を「KOBE観光の日」と定め、この日から始まる約1週間を「KOBE観光ウィーク」としてPRしている。
今年度はスタートが本日3日(土)で、13日(月・祝)までの11日間が「KOBE観光ウィーク」となり、神戸市内の様々な観光施設で特典プレゼントの配布や期間中限定イベントの開催が行われるという。
さて、神戸市がある兵庫県は、かつて播磨、但馬、淡路の3国を中心に摂津、丹波、美作、備前の一部が集まって構成された県だ。
そのなかの1国、但馬国を舞台に展開するマンガが『白兵武者』である。
戦国時代末期を描いた歴史マンガなのだが、注目していただきたいのは原案をあの蝶野正洋が手がけているという点だ。
蝶野正洋は米国・シアトル生まれ、三鷹市育ちのプロレスラーで、かつて1984年新日本プロレス入門の同門・武藤敬司、故・橋本真也とともに「闘魂三銃士」を結成していた男。
ヘビー級選手によるシングルマッチ戦「G1クライマックス」で5度にわたって優勝し、「nWo JAPAN」を設立して一世を風靡するなど数々の輝かしい実績を残した彼は、その黒ずくめでアウトロー的な風貌、荒ぶるリングパフォーマンスから“黒のカリスマ”と呼ばれるが、意外にもリング外では礼儀正しくクレバー、そしてレディーファーストを貫く紳士でもある。
『白兵武者』の主人公は架空の僧兵集団である「白兵」の蝶野正之進。その名のとおり蝶野選手をモデルをしているほか、その師匠が「坂口征順」、白兵たちの拠点が「真仁智寺」など、いたるところに新日本プロレスのテイストが散りばめられており、プロレスファンなら思わずニヤリ。
アクションシーンでは白兵の名に恥じないガチンコのプロレス技が激しい筆致で描かれる。
前述の闘魂三銃士はもちろん、ドラゴン・藤波辰爾や新日のレジェンド的存在の“あの人”まで、様々なキャラクターが登場して、プロレスファンでなくてもニヤリとさせられる。
キャラが破天荒なので時代設定的にもトンデモかと思いきや、1564(永禄7)年の山名祐豊による因幡・武田高信攻めから1569(永禄12)年の織田軍団・豊臣秀吉による但馬侵攻までを描き、政治的に不安定な戦国時代の中国地方情勢を、虚実織りまぜて巧みに描いている。
そんな戦国時代に想いをはせて、というのもおかしな話だが、行楽シーズンでシルバーウィークに乗り遅れた方は、お得なこの時期に神戸をおとずれてみてはいかがだろうか?
<文・富士見大>
編集・ライター。『THE NEXT GENERATION パトレイバー』劇場用パンフレット、『月刊ヒーローズ』(ヒーローズ)ほかに参加する。ただいま好評発売中の『バケモノの子 オフィシャルガイド』、「『仮面ライダードライブ』フォトブック~Drivin’Album」もやってます。